自社での活用事例
顧客満足を核とするプロセス改善
当社のセールスパイプラインは、これまでスムーズに処理できていなかったと言えるかもしれません。営業チームにとって、顧客からの問い合わせを営業機会に転換することは、単に売上の数字を計上するだけでなく、潜在顧客が必要とするソリューションをできるだけ早く提供することでもあります。そのため、営業チームはリードから商談までのサイクルでの遅延を知り「これは改善の余地がある」と考えました。
しかし、セールスパイプラインの動きが滞るのは、いくつもの理由があります。直感や前例に基づいて仮説を立てるのではなく、根本的な原因を確実に特定し、パイプラインの滞りを解消するための明確な計画を立てる方法が必要でした。答えは、プロセスデータの中にあると知っていたからです。
そこで、活用価値のあるプロセスデータにするための選択肢を検討した結果、プロセスマイニングのプロジェクトを立ち上げることを決定しました。これにより、(1)遅れの根本原因を特定し、(2)プロセスをより自動化できる「ハッピーパス」を見つけ、(3)現状のプロセスと理想のプロセスを比較し、改善の可能性を見出せます。
幸運なことに当社は、自社製品に、受賞歴のあるプロセスマイニングソリューション、ARIS Process Miningがあります。ARIS Process Miningは、当社が導入しているARISベースのビジネスプロセスマネジメントと連動していますが、さらに、SAP、Salesforce、Marketo、Outreachなど、営業チームが使用している他の多くのシステムとも、webMethodsを活用してシームレスに統合されています。
ARIS Process Miningで当社は、プロセスデータの分析を開始しました。さらにチームは、75万件以上のSalesforceのケースをプラグインして、根本原因の分析や最適な営業プロセスのモデリングに使用できるようにしました。データのインポートと標準化を段階的に行う必要がありましたが、ARISの活用とプロフェッショナルサービスチームによって簡単に実行できました。
この分析で明らかになったのは、スピードの重要性です。マーケティング活動で創出された角度の高い見込み客(MQL)に対する迅速なフォローアップが、成功のカギであることがわかりました。実際、最初に問い合わせのあったお客様に対する迅速なフォローアップは、リードを認定する可能性が7倍高くなります。しかし、改善の余地もありました。例えば、ある地域では、フォローアップにかかる時間が世界平均の5倍も多いことが分かったのです。
その結果、RPAによる新しいグローバルスタンダードを作り、4時間以内にリードを分類し、24時間以内に見込み客に連絡を取るというプロセスを確立しました。
パイプラインの最適化は現在も進行中ですが、このプロジェクトの成果はすぐに表れています。北米では、問い合わせから商談への転換率が20%向上しました。また、グローバルでは、MQLからSQL(営業担当者がフォローするものとして受け入れた見込み客)までの処理期間の中央値を3営業日(39%)短縮することができました。
この結果には、全社的に大きな手ごたえを感じています。ARIS Process Miningのプロジェクトからの、まったく新しいパイプラインができたのです。営業チームに対しては、リードのライフサイクルを理想的な経路と照らし合わせて、適合性チェックを行い、継続的にモニタリングしていきます。そこで問題があれば、根本的な原因を分析し、解決策を探ります。
また、人事部とは、採用から入社までのサイクルを改善するためのプロジェクトも予定しています。今後も導入による成果が見込まれるため、Software AG全体でARIS Process Miningを活用した改善の機会がますます増えると考えています。
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