お客様のご紹介
総合商社のデジタル化を加速させる
近年、世界的にデジタル化が進んでいますが、国境を越えての商品取引は、依然としてデジタル化への移行に苦労している産業の一つです。グローバルスタンダードの欠如、多様なシステムと言語、紙に頼る政府当局の存在など、さまざまな問題があります。 伊藤忠商事は、1858年の創業以来、業界をリードしてきた日本の大手総合商社です。そのため、最新のデジタル化・自動化技術を優先的に導入しているのは当然のことですが、この技術が、データ入力、コンプライアンスチェック、出荷、ベンダー管理、需要予測、さらには顧客との接点に至るまで、あらゆるところに影響を与えています。このような大規模な変革には、混乱を招くことなく、戦略的な舵取りを効果的に行うことができるリーダーの存在が必要でした。
国際貿易業界と同じような問題が、伊藤忠商事にも起こっていました。社内の各部署は、扱う商材、取引先もそれぞれ異なることから、独自の作業手順で部署固有のシステムやツールを活用していました。また、旧態依然とした業務プロセスが残っており、複雑かつ膨大な管理台帳を用いたトレード管理が行われていました。
全社的なプロセスアーキテクチャの可視化に加え、この取り組みには伊藤忠商事が使用しているRPA(Robotic Process Automation)ツールとの連携も視野に入れる必要がありました。RPAは、ルールに基づいて大量に繰り返される作業を自動化し、コスト削減、効率化、正確性の向上を実現するものです。伊藤忠商事は、RPAを活用することで既に4万時間以上の業務削減を実現しており、現在の業務プロセスに欠かせないツールとなっています。しかし、業務が自動化されたことにより元々手で行っていた業務内容が忘れられ、業務の本質を見失うリスクがありました。
伊藤忠商事は、さまざまなプロセスの可視化や自動化を一元化し、さらにデジタル化・自動化できる部分を浮き彫りにするツールを必要としていました。さまざまなシステムや形式を連携させることができる汎用性の高さから、ARISがソリューションツールとして選ばれました。フロー・テンプレートを活用することで、DXチームはゼロから作成する必要がなく迅速にビジネス・フローを追加し、他のプロセスと簡単にリンクさせることができました。
DXチームは、現状を把握し、各部門の詳細を掘り下げていく作業に取り掛かりました。2カ月余りで、すでに10〜15%の基本的なトレードプロセスを可視化できたといいます。このスピードなら、年間50〜60のプロセスを可視化するという目標も達成できそうだと考えています。 そしてこの透明性の高さが功を奏しています。今では、社内の誰もが簡単に会社のプロセス・アーキテクチャにアクセスし、自分の部署が組織全体とどのようにつながっているかを理解することができるようになりました。その結果、業務改善の大前提となる既存業務の可視化作業の効率は向上しています。このように可視化することで、限られた人だけではく、IT部門全体社員さらには業務改善に取り組む意欲のある社員全てが、社内の業務がどのように行われているかを実際に見て理解し、自身の所属部署の業務改善に活かすことができるようになります。そして何より、ARISが提供する戦略的な知見は、業務プロセス改善、新システムの開発や既存システムの改善を含む業務改善の足がかりとなっています。
160年以上にわたって時代とともに歩んできた伊藤忠商事は、おのずとサステナビリティを優先しています。ARISを活用することで、プロセスの可視化による効率化が、運用の改善やエネルギー使用量の削減にも繋げられるようになることは容易に想像できます。 また今後、製造工程に展開することになれば、CO2排出量の削減にもつながり、工程の見える化により、その追跡も可能になります。伊藤忠商事は、ARISを活用してビジネスの内側と外側を変えようとしています。そして、それはまだ始まったばかりなのです。