ビジネスプロセスマネジメント（BPM）
とは？BPMとその利点の紹介

ビジネスプロセスマネジメント（BPM）とは、組織のプロセスを戦略に合わせて改善し、効率化を目指すアプローチです。

 なぜBPMが重要なのか？成功がイノベーションのスピードによって定義される時代において、プロセスはこれまで以上に重要です。Software AGでは、この絶え間なく変化する世界で成功するための最良の方法は、BPM（ビジネスプロセスマネジメント）を採用することだと確信しています。

プロセスマネジメントは、1回限りのプロジェクトではなく、継続的な最適化と改善によって効果をあらわします。運用上のボトルネックを検出して削減し、新製品の開発を加速し、絶えず変化する規制に準拠し、顧客の期待に応え、最終的には競合他社に先んじてビジネスを成功に導きます。

BPMソリューションは御社に適しているでしょうか？もしそうなら、どのように始めるのがベストだとお考えですか？このガイドでは、ビジネスプロセスマネジメント、そのビジネスにおける価値、プロセスの力を活用するための可能性について紹介します。変化に迅速に対応できる業務の設計、ビジネスの現実を反映したITの確保、従業員の結束力の強化、リスク管理の改善、非効率の発見と修正、満足度向上のためのカスタマージャーニーの簡素化、プロセスマイニングの知見を活用したインテリジェントで情報に基づいた意思決定などにおいて、BPMがどのように役立つかをご説明します。まずは、BPMの主要な用途について、少し掘り下げてみましょう。

かつて、ある事故が最悪のタイミングで発生したことがありました。エッフェル塔の高さよりも長い22万トンの船が、世界一交通量の多い水路のひとつを塞いだのです。2021年3月にエバーギブン号がスエズ運河で座礁したとき、すでに世界のサプライチェーンは限界に達していました。Covid-19による1年間のロックダウンで工場は閉鎖され、消費者の嗜好が変化したため、世界中のビジネスプロセスが混乱しました。企業はコンテナ不足、港の混雑、マイクロチップのような重要な資材の不足に対処しようと奔走していました。エバーギブン号の事故は、この悪い状況をさらに悪化させることとなり、6日間にわたって航路を塞いだことで、世界貿易に約600億ドルの被害を与えました。

一隻の船がこれほど大きなボトルネックになることも、世界的なパンデミックによって一夜にして消費者の行動が変わることも、ビジネスリーダーは予測できなかったでしょう。しかし、自社のプロセスを深く理解し、そのプロセスをデジタル化している企業は、変化を柔軟に受け入れ、それを利用してビジネスを変革する準備をしっかりと整えていたのです。

これは、企業がビジネスプロセスマネジメントを活用することで、業務を効率化し、予期せぬ市場の変化に対応し、最終的にビジネストランスフォーメーションを推進できることを示す好例だと言えましょう。 

ビジネスプロセス管理の種類

BPMシステム（BPMスイートと呼ばれることもあり、「BPMS」とも呼ばれる）は、以下を含む補完的なテクノロジーの集合体です。

• ビジネスプロセスの根底にある全てのタスクの発見、表現、分析を支援するプロセスマイニングツール
• 情報を整理するためにビジネスプロセスを可視化しモデル化するツール
• ビジネスプロセスを完成させるタスクを自動化するワークフローエンジン
• 開発者による技術サポートを必要とせずユーザがビジネスルールを変更できるようにするビジネスルールエンジン（BRE）
• 事前にコーディングせずに、プロセスの流れを把握するためのシミュレーションツールやテストツール
  

一般的にBPMは、「連携中心のBPM」、「人間中心のBPM」、「文書中心」の主に3つの種類があります。どのような違いがあるのか見てみましょう。

• 連携中心のBPM：人間がほとんど関与しないプロセスに焦点を当てます。一方、これらのプロセスは、システム間のデータを連携するAPIや自動化ツールに大きく依存し、多くの場合、ERP（企業資源管理）、HRM（人的資源管理）、CRM（顧客関係管理）スイートなどの企業ツールを連携・統合します。
• 人間中心のBPM：こちらは、プロセスの流れの中で人間が関与し承認する必要があるような人間中心のBPMです。人間中心のBPMは、ローコード/ノーコード機能を備えた直感的なユーザーインターフェイスにより、技術者ではない従業員がタスクを割り当てたり、プロセスに沿って個人に役割や責任を持たせることが容易になります。
• 文書中心のBPM：この種類のBPMは、契約書のような特定の文書を中心とします。企業が定期的に製品やサービスを購入する場合、その都度、承認やレビューを経て最終決定されます。

オペレーショナルエクセレンス

組織全体の再構築と変革を成功させるには、ビジネスビジョン（市場で勝つ方法）とオペレーションビジョン（事業運営の方法）を整合させる必要があります。適応性の高い エンタープライズ管理システム（EMS)によって 組織をエンドツーエンドで連携させることで、 業務の可視性が向上し、影響力と将来性のあるビジネス上の意思決定ができるようになります。また、自動化されたプロセスガバナンスに基づき、共有された信頼できる唯一のよりどころとして、 業務手順やポリシーを組織全体に展開することが可能になります。いつでも、どこでも、誰でも、変革に貢献できます。プロセスマイニングを採用すると、プロセスがどのように実行され、それが計画されたプロセスとどのように違っているかを測定できるようになります。さらに、その矛盾が収益に影響を与える前に、元に戻って修正できます。

サステナビリティ

少し前までは、サステナビリティは収益とはあまり関係のない流行語でした。現在、サステナビリティは、ブランドの評判からイノベーション、収益の拡大、ビジネスの繁栄に至るまで、あらゆるものの中心にあります。ビジネスリーダーとして、この新しい常識に戸惑うこともあるでしょう。どの業界においても、より環境に優しく、より公平で、気候に変動に配慮した世界を築くための政策、基準、法律、規制の枠組みに直面すると考えられています。このサステナビリティという名の「ジャングル」をどう切り抜けるのがベストなのでしょうか。「グリーンBPM」ソリューションでは、プロセスをESG戦略の中核に据え、競合他社に先駆けてサステナビリティの目標を達成し、ブランドの評判を確保することができます。。

ビジネスの継続性

コロナの大流行によって世界的な生産、流通、サプライヤーのネットワークと需要が同期しなくなる前から、ビジネス継続性とレジリエンス（回復力）の重要性はすでに高まっていました。現在、レジリエンスとは、急速に変化する市場に柔軟に対応できること、つまり危機を乗り越えてより強くなることを意味します。BPMは、ビジネス継続性を高めるために、リスクとビジネスへの影響に優先順位を付け、それらの対策を定義して優先順位を決め、過去の危機から学んだ教訓を統合し、復旧戦略と最新の管理策を設計することで、プロセスに適応し、混乱の中でも企業を導くことができます。

ビジネストランスフォーメーションー業務変革に取り組む準備はできていますか？Software AGでは、その鍵はプロセスにあると長年考えてきました。市場をリードする当社の製品スイートであるARISは、最初からその中心に存在していたのです。ARISの創始者であるAugust-Wilhelm Scheer博士はBPMのパイオニアで、1990年代初頭に実際のプロセスパフォーマンスに基づいて継続的なプロセス改善を図式化しモデル化する方法として、このツールを開発しました。以来ARISは30年にわたり、DXの導入を目指す企業にとって、ナンバーワンのビジネスプロセス分析・管理ソフトウェアソリューションであり続けています。ARISは、部門、階層、システム、場所を超えて、企業全体のビジネス変化を厳密に管理し、コントロールすることができます。また、ステークホルダーがより良い意思決定を行うために必要なツールと知見を提供し、オペレーショナルエクセレンスへの道を切り開きます。

ARISは、戦略からオペレーションまで、6つのBPMフェーズ（理解、プロセス設計、実装と自動化、展開、実行と運用、測定と管理）を通してBXをサポートする市場で唯一のBPMソフトウェアで、ビジネスの内容や規模に関係なく、すべてを実行できます。また、単一の作業環境を実現する「ワンストップショップ」の役割を果たします。そしてARISは、モデリングとマイニングを1つのツールに統合した市場で唯一のソリューションであり、片方の単体ツールでは実現できない優位性を発揮します。

ビジネスプロセスマネジメントのライフサイクルを構成する6つのフェーズとは？

BPMの実例と応用

プロセス理解

プロセスやトランスフォーメーションの取り組みは、まず、現在進行中の既存のプロセスを理解することから始まります。つまり、さまざまなツールや形式を使用してサイロ状態で作業していることが多い社内の部門から情報を収集します。この最初の段階で得られる効率は、相当なものである可能性があります。持続可能なエネルギーと水管理の世界的リーダーであるEnzen社は、ARISの導入により、ビジネスモデルを文書化して顧客と共有し、サービス納期を半分に短縮できました。

プロセス設計

BPMを使用してより効率的な優れたプロセスを設計することで、変化するビジネスや市場の要件に迅速に対応できます。多国籍食料品小売業者のTesco社は、ARIS導入前は常にプロセスの変更を行っていたため、意思決定能力が妨げられ、カスタマーエクスペリエンスが一貫性を失っていました。現在では、プロセス設計向けのデジタルの信頼できる唯一の情報源であるARISによって、世界中のプロセスを完全にコントロールしています。

実装と自動化

プロセスをITと連携させ、プロセスオートメーションを導入することで、RPAからSAP、クラウド、IoTまで、これまでにない生産性の向上を実現できます。中南米の大手食品製造業を担うAlicorp社は、ARISを導入して、60年以上にわたるコアビジネスプロセスを統合し、標準化しました。その結果、信頼できる唯一の情報源により、9カ国にまたがるすべてのテクノロジーを統一できました。

プロセス展開

新しいビジネスプロセスの展開方法は、従業員全体の変化を管理し、将来に向けて会社を位置づけるために極めて重要です。欧州の大手医療サービス機関であるPhoenix Group社は、ワークフローを最適化し、事前定義された役割を活用して、コストのかかる役割とプロセスの重複を回避しながら、新規ユーザーを効果的に登録する方法を必要としていました。ARISの導入により、同社がどのように透明性の高いユーザーエクスペリエンスを実現したかをご覧ください。

実行と運用

コンプライアンス違反のリスクからビジネスを保護することが、これまで以上に重要となっています。多くの金融サービスプロバイダーと同様に、オーストリア管理銀行（OeKB）は、ますます複雑化する厳格な銀行規制に直面していました。同銀行はARISを導入したことにより、プロセス、リスク、コントロールを中央のエンタープライズ管理システムにシームレスに統合しました。現在では、事業ライセンスの確保がこれまで以上に容易になっています。

測定とコントロール

プロセスの適合性をリアルタイムで監視する機能が、BPMの特徴の1つです。特に、企業は非効率が拡大する前に、それを発見して修正することができます。上海に拠点を置くスマートデバイス開発企業Huaquin Technology社は、エンドツーエンドの研究開発ライフサイクルを測定・管理するためにARISを導入しました。その結果、スタッフはエラーを即座に発見して修正できるようになり、よりタイムリーでコスト効率の高い製品開発プロセスが実現しました。

BPMの実例と応用

エネルギー、小売、食品・飲料、ヘルスケア、銀行、製品開発など、Software AGの顧客からの知見を交えながら、ARISがビジネスプロセスマネジメントのライフサイクルをどのように構築できるかご覧ください。

ビジネスプロセスマネジメント、そしてARISのメリットとは？

ARISはBPMの基本をマスターするだけでなく、プロセスマイニングからリスク＆コンプライアンスに至るまで、企業が他のビジネス分野も取り入れています。

• プロセスマイニング　ビジネスプロセスのマッピングと設計にすでにかなりの時間を費やしていませんか？そうであれば、これらのプロセスに取り組んでいる同僚が、あなたの目論見とおりに実行しているかどうか、疑問に思ったことはないでしょうか？プロセスマイニングは、プロセスデータを「マイニング」し、発見と継続的な改善を行う分析手法であり、プロセスの成熟度を次のレベルに引き上げるのに役立ちます。ARIS Process Miningでは、設計や基盤となるシステムの調整、従業員への追加トレーニングの必要性などのギャップを明らかにすることで、適合性とコンプライアンスの両方を確保できます。ビジネスが実際にどのように機能しているかを理解し、プロセスを計画どおりに実行するために必要な変更を加えられるよう、重要な知見を得ることができます。
•  リスクとコンプライアンス　業界を問わず、ビジネスリーダーならいまや誰でも、サプライチェーンから、規制の順守、デジタルリソースの盗難やデータセキュリティの侵害まで、リスクに関して頭から離れない日はないはずです。今日のデジタル世界では、ビッグデータとIoTによって全く新しい情報ネットワークが形成されており、リスクを積極的に管理することがこれまで以上に重要です。ARIS Risk & Compliance Managementは、全社的なコンプライアンスとリスク管理システムを構築・実装・運用するための、プロセスに重点を置いたアプローチをとることができます。リスクの特定と文書化、主要な規制への対応、インシデントと損失の管理、企業監査の実施、新しい手順の確認など、これまで以上に用意周到に準備ができるようになります。また、企業の健全性を守り維持するために、対策を尽くしているという安心感も得られます。

BPMイニシアチブの成功のメリットは明らかです。ビジネス目標を達成するために、BPMの強みを活かして以下の課題に対処し、克服してください。

ビジネスの回復力

サイバー攻撃、自然災害、重要インフラの障害など、不測の事態は企業の成功にとって重大な脅威となります。その結果、現在ではより多くの業界が、ビジネス・レジリエンスと事業継続性の強化に注力している。BPMは、統合されたコンプライアンス・システムの一部として、危機的状況下での行動を可能にする決定的な要因であるソリューションの開発と実装を支援することができます。

サプライチェーンの最適化

サプライチェーンは進化する圧力に直面しており、以前は在庫管理のためにジャストインタイム戦略を追求していた企業も、現在ではより高い弾力性の必要性を感じています。BPMは、いくつかの方法で、より効率的で弾力性のあるサプライチェーンの構築を支援します。ビジネスプロセスを詳細にマッピングすることで、企業はサプライチェーンのボトルネックや非効率性を特定できます。自動化によって、企業は調達、在庫管理、注文処理、物流追跡、代金回収などの業務を合理化し、より迅速で正確な注文処理を実現できます。また、在庫レベル、納期、顧客需要などの要因のデータ分析を通じて、企業はより効率的で弾力性のあるサプライチェーンの構築に役立つ傾向やパターンを特定することができます。

デジタルトランスフォーメーションの加速

ビジネスの変化のスピードは加速している。 ダイナミックなデジタル環境では、過去の成功は将来の業績を予測する材料にはなりません。企業が生き残るためには、ビジネスモデルを継続的に新たな課題に対応させる必要があります。BPMは、企業が新しいテクノロジーを活用するためにプロセスを再設計するのに役立ちます。また、BPMは、人間が有能でインテリジェントな機械アシスタントと協力し、一緒に仕事をすることが増えている世界で必要とされるスキルを、企業が従業員に確保するのにも役立ちます。

規制コンプライアンス

コンプライアンス要件とそれを満たすためのプロセスは、年々複雑になっています。品質やデータ・セキュリティといったよく知られたコンプライアンスの側面に、環境保護、持続可能性、社会的ガバナンスに焦点を当てた要件が加わりました。この新たな規制の数々は、企業に効率的な分析・報告システムの確立という課題を突きつけている。BPMは、プロセスのモニタリングとプロセスの文書化を通じて、企業がコンプライアンスに準拠していない分野を特定し、是正措置を講じるのに役立ちます。さらに、BPMは、監査や調査の際にコンプライアンスを証明するために、プロセスの完全な監査証跡を維持するのにも役立ちます。

高まる顧客の期待

顧客の期待は、より没入感のある体験や、より高度なパーソナライゼーションに対して年々高まっています。BPMは、企業が顧客の要求をより迅速かつ完全に満たす方法を見つけるのに役立ちます。カスタマージャーニーを強化するために、企業はプロセスを詳細にマッピングし、プロセスを合理化して顧客の不満を軽減するために取り除くことができるカスタマージャーニーのペインポイントを特定することができます。BPMは、顧客のセグメンテーションとターゲティングに構造化されたアプローチを提供することで、パーソナライゼーションをサポートすることができます。カスタマージャーニーをマッピングし、顧客のニーズや嗜好を特定することで、企業は個々の顧客のニーズに合ったサービスを提供することができます。

サステナビリティ

顧客は、持続可能なビジネス慣行を追求する企業を高く評価します。また、サステナビリティは、収益を向上させる効率性と節約の機会を発見するのにも役立ちます。BPMを使用して、無駄を削減し、効率を高める機会を特定します。自動化は、企業が二酸化炭素排出量を削減すると同時に、効率を向上させるのに役立ちます。さらに、BPMは最適化された在庫管理をサポートし、企業が使用する材料の量を減らし、不必要な無駄を省くのに役立ちます。

変化するワークプレイス要件

ハイブリッドワークや、世界中に配置されたチームのコラボレーションの増加により、企業や従業員間のコミュニケーションや情報交換に新たな需要が生じています。BPMは、デジタルハンドブックの作成により、遠隔地でのコラボレーションの課題を克服するのに役立ちます。プロセス知識、作業指示書、ポリシーの役割別展開を管理することで、全員が共通の目的に向かって同期して働き続けることができます。

ビジネスの俊敏性

企業を取り巻く世界は絶えず変化しています。予期せぬ出来事による変化であれ、新しい法律や規制による変化であれ、組織は対応し、適応しなければなりません。いかに迅速に対応するかによって、事業を継続できるか、あるいは継続できないかが決まります。BPMは、すべてのビジネスプロセスに関する単一の真実の情報源を提供することで、変更管理をサポートします。プロセス、アプリケーション、ビジネスルールなど、組織内の物事を変化させる複雑さを断ち切ることで、俊敏性を向上させ、時代の最先端にとどまることができます。

貴社のプロセスはプレッシャーに耐えられますか？

プロセスの力を活用する準備はできていますか？戦略的ビジョンを確立し、次の予期せぬ世界的危機のプレッシャーを乗り切るために、継続的な改善に取り組む準備はできていますか？ARISで業務変革（ビジネストランスフォーメーション） やオペレーショナルエクセレンスをどのように推進できるかをご紹介します。ぜひお問い合わせください。