ガイド

Software AGソリュ―ション活用の準備ガイド

DX実現への道は、その先に何があるのかを知り、それに備えることにあります。

はじめに

現在、企業は毎日のように新しい課題や市場の要求に直面しています。そうした状況に対応し、さらに一歩先を進むためには、適切なテクノロジーを迅速に選んで導入する必要があります。しかし、テクノロジーへの投資を最大限に活用するには、導入する組織側の準備体制を整えておかなければなりません。準備が万全でなければコストばかりがかさみ、何もメリットを得られません。実際、プロジェクトオーナーの心に最も響く言葉は「Time to Value(価値を実感するまでの時間)」です。

それを理解しているからこそ、私たちSoftware AGの最優先事項は、当社のソリューションでお客様を成功へと導くことです。このガイドは、そのお手伝いをするためのものです。ここでは、実装ジャーニーの6つのフェーズを順に説明し、フェーズごとに組織内でのプロジェクトを成功させるためのサービス機能とベストプラクティス(最良の方法)について概説します。

  • フェーズ1: 購入。投資から最大限の効果を得るために、プロジェクトの初期段階から価値とROIを整合させる最適な方法を見いだす。
  • フェーズ2: 計画。期待される(理想的な)成果に向けて取り組むために、適切な人材と計画を確保する。
  • フェーズ3: 実装。プロジェクトの実装、オンボーディング、本番環境での使用に必要な技術要件とリソースの準備が整っていることを確認する。
  • フェーズ4: コミュニケーション。変更や新しいテクノロジーによるビジネスへの影響について、組織に効果的に伝える。
  • フェーズ5: 適応。製品への適応を成功させるためにチームに必要となるトレーニングや認定資格について理解する。
  • フェーズ6: 実現化。製品が主要なビジネス推進要因やROI目標にどの程度合致しているかを測定および検証する。

この準備ガイドでは、主要なビジネス目標に対処して価値をもたらす戦略の策定方法について説明します。これは、迅速な成果と長期的な目標の両方を特定・計画・実現する方策を講じるのに役立ちます。また、組織はSoftware AG製品を導入初日から活用できるようになります。

Purchase

フェーズ1: 購入

組織の準備が製品購入前から始まることは周知の事実です。購入のフェーズからステークホルダーの期待を管理しつつ、要件と目的を満たすことでリスクを軽減し、ソリューションの価値実現に向けた計画を立てることができます。このフェーズでは、当社の営業チームとソリューションエンジニアとともに、DXジャーニーをどこからスタートし、どのように進めるのがベストなのかを明確に理解します。

Software AGは、営業チームとの最初のコンタクトから、ソリューションとインテグレーションアーキテクチャの設計支援に至るまで、あらゆる意味で真のパートナーとして支援してくれました。市場で最高レベルの製品を導入することにより、当社は業務を急速に変革し、迅速に価値創造を実現し、真のデータドリブンな企業として、当社の未来を自由に形作ることができるようになりました。

- AXA Cooperative Insurance 社

目の前にやるべき仕事が待ち受けていても、契約締結のタイミングとその後に行われる一連の活動を理解することが重要です。何より、この購入で得ることを期待する価値の概要をまとめ、それに応じて計画を立て、バリューチェーン全体にわたって新しいテクノロジーを最大限に活用できるようにすることが重要です。

最初のステップは、組織内の主要なステークホルダーを特定し、この調達に対する彼らの懸念を把握することです。多くの場合、購買チームは複数の部門にまたがっています。早期にチームを集めて質問し、フィードバックを得ることで、現状と理想の状態に対する期待を管理します。

次に、期待される ROI を、組織にとって最も効果が得られると思われる領域に合わせます。組織のKPIをマッピングし、ソリューションがどのように評価されるかを明確に把握することから始めましょう。購買チームと一緒に、単一の成果だけにこだわるのではなく、バリューチェーンに沿って調整できる部分を把握します。

検討事項:

  • 誰が価値を提供するのか?
  • このテクノロジーの実装と適応の成功は、組織にとって何を意味するか?
  • 価値を迅速に実現できる部分と、徐々に実現できる部分はどこか?
当社の営業チームやソリューションアーキテクトチームとともに取り組み、当社のテクノロジーで実現可能なことをご確認ください。DXジャーニーは各自の旅であり、どこからスタートし、最終目的地はどこかを知ることから始まります。まずは一歩を踏み出し、より広い視野で考えてみましょう。Software AGは、ともに成長してステップバイステップでお客様を成功に導くお手伝いをします。
Plan

フェーズ2: 計画

米国の作家であり、自己啓発や成功哲学の第一人者、デール・カーネギーの言葉に次のようなものがあります、「1時間の計画で10時間の行動を節約できる」。通常、企業はプロジェクトを立ち上げたら、そこから迅速に価値を実現する必要があります。適切な計画と人材を確保することで、実装時に陥りがちな落とし穴を回避し、既知のリスクを軽減して(また予期せぬリスクの影響を減らし)、円滑な実装プロセスを進めるための準備を整えることができます。

プロジェクトの全体的なアプローチは、前もってビジネスチャンスに対処することで価値をもたらす戦略を明確に定義することにかかっています。

計画を成功に導くポイント:

  • 結果を念頭に置いて開始する。 組織にとって望ましい成果に向けて、実装ロードマップを作成します。
  • 組織が変化を受け入れるように導く。 真の変革を実現するには、組織内の利害関係者やプロジェクト推進派(もしくは候補となる)メンバーに直接語りかけ、生産的なテクノロジーに対する適応を推進する肯定的思考に影響を与える必要があります。
  • 進捗状況を把握する。 目的に向けて取り組む際に、期待される成果のための目標と手段を確立します。
Typical behavior in a change process
原典: キューブラー・ロスのモデル – キューブラー・ロスの変化曲線を理解する | Cleverism
当社のサービスチームは、すべての貴社チームが同じ目標に集中できるよう、計画の策定を支援します。すでに貴社がDXジャーニーを開始しているものの、今後の道筋についてより確かな保証が必要な場合は、プロジェクトガバナンスレビューなど、リスクを積極的に軽減および管理し、利害関係者の期待に応えるために活用できるアドバイザリーサービスをご利用できます。
Implement

フェーズ3: 実装

戦略を明確に定義し、利害関係者の関与を確認したら、次は、プロジェクトの実装、オンボーディング、本番環境での使用に必要な技術要件とリソースの準備が整っているかどうかを確認します。

まず、ソリューションに適応するために自社の組織に必要なスキルを理解します。下記の内容を確認してみてください。

  • 自社の組織は、この新しいツールを受け入れるよう適切に構造化されているか?
  • 自社のチームは、このプロジェクトを完了するために必要なスキルセットを備えているか?

早い段階でスキルギャップを把握することで、来るべき事態に備えられます。結局のところ、人材はテクノロジーと同等に価値のある投資なのです。ITチームの主な目的がイノベーションに集中することであるなら、外部のマネージドサービスプロバイダーを利用して実装を加速させ、より迅速に結果を出すことを検討してみてください。外部のサポートを受けることで、プラットフォームの運用とビジネスの継続性を確保でき、戦略的なデジタルプロジェクトにふさわしい注目を集めることができます(Software AGは、マネージドサービスの専門家チームを提供しています)。

Transformation strategy

次に、人材、プロセス、テクノロジーへの関与、情報提供、実現に焦点を当てたチェンジコミュニケーションを検討し、実装を成功に導きます。

重要な活動:

  • 計画と戦略: フェーズ 2で説明したように、ビジネスニーズと目標を、希望する成果に一致させましょう。計画を知ることで、「正しいことを正しく実施する」ことができるようになります。
  • デリバリーエクセレンス:品質を維持するために、社内チームやパートナーの最適な活用方法を決定しましょう。
  • 運用管理:プラットフォームをサポートするための運用チームやインフラストラクチャを準備し、支援できるようにしましょう。同様に重要なのは、自社のチームがソリューションを維持するための能力を備えているか、マネージドサービス、クラウド運用、またはパートナーサービスの追加サポートが必要かどうかを検討することです。
  • アーキテクチャ:アーキテクチャ、スケーリング、テクノロジーの最新性(新機能、パッチ、アップグレード)に関する適切な手法とベストプラクティス(最良の方法)を活用し、強固な技術基盤を確立しましょう。
  • カスタマーエクスペリエンス:顧客ニーズがビジネス価値を高めます。ビジネスを成長させるために、価値とカスタマーエクスペリエンスの向上を実現するように準備しましょう。社内外の顧客からのフィードバック取得ルートを設定することで、継続的な改善をサポートして徐々に価値を向上させます。
ソリューションの実装は、組織変革の大きな一歩となります。必要な技術要件を理解してギャップを解消することで、価値を迅速に実現し、ビジネス目標を調整しながら組織を円滑に運営するための道筋を立てることができます。Software AGのベストプラクティスを直接、または弊社のサービスチームとともに活用し、成功のための明確な戦略を設定してください。

ARISは、当社BTのプロセスコミュニティだけでなく、当社のビジネスチームにとっても重要なツールになっています。BTは、SAGのエキスパートであるプレミアムサービスチームに日々の運用を管理してもらうことで、ビジネス目標に集中できるようになったことに満足しています。BTを知り尽くした専任のSoftware AG ARIS担当エンジニアが、当社の特定のビジネス機能に応じてARIS製品を最適化してくれます。結局のところ、チームとして緊密に連携することが、より大きな成功につながるということがよく分かりました。

- Jean-Antoine Cannard氏、主任プロセス・アーキテクト | British Telecom (BT)
Communicate

フェーズ4: コミュニケーション

「文化や行動にまつわる課題が、デジタルの有効性を阻む最大の障壁である(33%)」 – マッキンゼー&カンパニー
8 common mistakes of change communications
原典: John Kotter著「Leading change(企業変革力)」: Leading Change: A Summaryから引用 | Lucidity (getlucidity.com)

コミュニケーションは、まぎれもなく、プロジェクトの成功に必要な最も重要な要素の1つです。ステークホルダーの関与と組織からの賛同がなければ、適応への道は険しくなります。包括性は適応を後押しします。明確なチェンジコミュニケーションを行うことで、組織が変化に対応できるよう最適な準備を整え、すべての人を参加させることができます。

思慮に富んだチェンジコミュニケーションを確立することで、組織がDXを成功させるための道筋をよりよく理解できるように焦点を当て、導くことができます。変革の計画は、次のことに役立ちます。

  • 組織全体の適応に対する障壁を減らし、全従業員が一つの目標に集中できるようにする。
  • CxOの目標や目的との整合性を図りながら、変革イニシアチブを計画し指示するためのサポートを得る。
  • CxOが共有しているビジョンに対する従業員の自信を確保し、変革イニシアチブの包括的な目標を達成するために各自がどうすれば最善の貢献ができるかを分かるようにする。
Change communication stream
当社は、チェンジコミュニケーションサービスによるサポートを提供し、実装を通じてお客様のビジョンが確実に反映されるようにします。これにより、プロジェクトのセキュリティ、変更管理、保守手順が適切に行われていることを確認しながら、アーキテクチャガバナンスをより容易に適用して、現状から理想の状態へスムーズに移行できるようになります。目標は、リスクを軽減し、組織内でDXプロジェクトを受け入れてもらうことです。
Adopt

フェーズ5: 適応

プロジェクトが実装され、チェンジコミュニケーションも確立されました。主要なステークホルダーと従業員には新しいテクノロジーの情報が伝えられ、使い始める準備ができています。成功への道を歩み続けるには、チームがソリューションのオンボーディングと適応を成功させ、望ましいROI(投資収益率)を迅速に得ることが必要となります。

適切な方法で計算すると、トレーニングは5〜200%という高いROIをもたらすことが分かっています。

- Steve Muench, PhD, PE |カリフォルニア大学バークレー校

トレーニングを受けた従業員の68%が、より頻繁に製品を使用しています。投資を最大限に活用するためには、適切なトレーニングが不可欠です。適応、知識伝達、イノベーションを促進するアプローチを確立し、最新の製品機能とベストプラクティスをチームに浸透させましょう。適切なアプローチを決定するために、リソースのスキルセットを評価してください。

ソリューションへの適応を推進するチャンピオンやエキスパートが組織内にいれば、成長を維持し、最高のカスタマーエクスペリエンスを提供するように組織を形成することができます。また、CoE(センターオブエクセレンス)を確立して、チーム全体での適応を促進することも検討してください。最後に、リソース計画を作成し、スキルセットを特定して、チームの始動後もサポートが必要な部分のギャップを把握してください。

新しいソリューションの適応を成功させることは、自社の成功に欠かせません。技術ユーザーとビジネスユーザーの両方が利用できるトレーニングやオンボーディングプログラムについて、明確なイメージを持つことが重要です。自社の組織でトレーニングや専門知識が必要な場合は、チームに適した学習、トレーニング、認定資格を見つけるか、当社のエデュケーションサービスチームと連携してスキルギャップを埋めてください。
Realize

フェーズ6: 実現化

計画が整い、新しいソリューションに適応する準備が整いました。しかし、ビジネス目標を達成できているかどうかは、どのように確認すればよいのでしょうか。 プロジェクトの成功には、実装の価値を追跡するための適切なシステムを配置することが不可欠です。

Software AGのチームはオープンで、成果に全力を注ぎ、常にサポートしてくれました。Software AGとのすべての接点と関わりに満足しています。

- Craig Bennetts 氏、インフラストラクチャおよびアプリケーションサービス本部長 | Linfox

達成すべき目標や目的に照らして新しいソリューションの実現価値を追跡することは、物語の一部に過ぎません。ソリューションの実装は、具体的な成果のビジョンと推進要因に対応するものでなければなりません。健全なITガバナンスエンタープライズアーキテクチャを備えたソリューションで前進を維持しましょう。これらのプロセスを計画すると、イノベーションを最大化し、機能の重複を最小化することができます。これにより、現在のテクノロジーの機能を利用したテクノロジー計画をより的確に活用し、DXにおける「次のステップ」の価値を可視化して伝えるロードマップを拡張できるようになります。また、現状と理想の状態のギャップ分析により、標準化を通じて成長に注力する機会を見出すことができます。

また、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を設置し、ビジネス価値とカスタマーエクスペリエンスの向上を実現する成果へとプロジェクトを導くことも検討できます。PMOに は、「簡単に達成できる目標」を迅速な成果として選択し、プロジェクト内およびプロジェクト間の無数の依存関係を管理する権限を与えられる必要があります。PMOを設置した上で、目標とする成果を達成するための「十分に優れた」反復的な改善に焦点を当てた実行フレームワークを確立してください。

運用の準備が成功の鍵を握っています。マネージドサービスまたは運用チームが、テクノロジープラットフォームの可用性と最新性を維持するための知識とサポートを備えていることを確認しましょう。これらのチームに対しては、変更管理、セキュリティ管理、および運用の持続性管理を実装することを検討してください。また、製品の最新機能や改善を取り入れ、DevOps手法を活用して効率的な展開を実現するプロセスを検討してください。

ソリューションから迅速に価値を現実化することは、ソリューションの拡張と適応を継続するために不可欠です。また、その効果を理解し、具体的な成果へとつなげることで、組織における「次の一手」を見出すことができます。当社のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)は、お客様とともに望ましい結果を達成するためにサクセスプランを策定し、製品の利用拡大、目標設定による長期的な成功の構築、ビジネス目標達成のための適切な製品機能の活用を通じて新たな機会と成長分野を発見できるよう支援します。

最後に

DXの領域は急速に拡大しており、ビジネスの命運はソリューションの実装の成功にかかっています。ベストプラクティスに基づく明確に定義された計画とアプローチは、組織に価値を提供して実現するための強固な基盤となります。全体的なビジョンにマッピングされた目標を継続的に改善することで、機会とリスクを特定し、必要なときに必要な場所で方向転換できるようになります。

組織を成功に導く5つの重要ポイント

  • 望ましいビジネス成果をビジネス戦略全体にマッピングすることで、ソリューションの価値を高めましょう。
  • 当社のサービスチームと連携し、当社の製品機能がどのようにビジネスをサポートできるかをより深く理解しましょう。DXの目標に合わせて進化するソリューションを構築しましょう。
  • 当社の専門知識と経験を活用し、迅速に価値を実現して組織内に広く浸透させ、望ましいROIを達成する方法を見つけましょう。
  • 「人」は最大の資産です。しっかりとした計画を立てることで、成功のためだけでなく、繰り返し組織の変革を推進するために必要なツールやスキルを身につけることができます。
  • 早期に、頻繁に、そしてソリューションのライフサイクルを通じてコミュニケーションをとりましょう。社内外の顧客とのフィードバックループを設定し、ソリューションの継続的な革新と改善を図りましょう。

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